「喧嘩しないでよ」
なんで、あたしがこの二人の仲裁役になってんの。
「そーだよー、志貴」
はるるんサンにも、言ってんだけど。
人に罪を擦り付けるんじゃないよ。
「………………あっそ」
はい、ツンいただきましたーー!!
志貴ははるるんにツンとした態度をとって、アイラブユーの文字をスプーンでぐちゃぐちゃにしていく。
あらららら。美沙ちゃんの愛、撃沈したり。
そして、すぐにオムライスを食べ始めた。
味は美味しいようで、パクパクと食べるスピードが早くなっていく。
「はるるんも食べたら?」
「うん。そーするー」
志貴先輩を片目に、目を細めた彼はゆっくりとオムライスにスプーンをのばした。
なんか、微笑ましい。
母性本能が目覚めたか‼?というような感情が胸をくすぐって、あたしはまた目を細めた。
「ごゆっくり、お楽しみください」
軽く彼らに会釈をした。
仕事に戻ろう。
そう思い踵を返すと、手首を捕まれて。
反射的に後ろを振り向くと、彼のさくらのピアスが窓からの光に反射してキラリと輝いた。
「どうかしましたか?志貴先輩」
「………………1時に迎えに行く」
そう一言告げて、またオムライスに目線を移す。
1時ね、1時。オーケーオーケーよ、1時。
「待ってますっ」
最大限に表情筋を動かして、喜びを顔に表現した。
そしたら、彼も。
くちもとが少し緩んだような気がした。