「…晴、アイツは無視しとけばいいんだよ。早くオムライスが食べたい」
「志貴先輩‼?ほんっと、クールドライ!冷たっ」
「…るせぇ。晴、食べるぞ」
「オーケーよーん。志貴ちゃーん」
「…死ね」
「志貴‼?俺、美沙ちゃんじゃないのよ‼?冷たっ」
「はるるん、それどういう意味だよ」
この人達に、言ってもいいことと悪いことのラインを教えてあげたい。
美沙ちゃん講座をここで開いてあげたいが、さすがに料理がダメになるのは阻止したい。
調理班の人達に申し訳ない。
食べるモードになった目の前のクールイケメンな先輩と残念イケメンな先輩は、オムライスに目を輝かせていた。
…というのは、少し語弊がある。
料理に目をキラキラさせているのは志貴先輩だけで。
はるるんはあたしの握るケチャップを見て、目をキラキラとさせているのだ。
「えっと、サービスでメイドであるあたしがケチャップで文字か絵を描かしていただきます」
ニッコリ、営業スマイル。
「………いい。自分で書く」
「じゃあ、俺の顔書いてちょーだい」
「…………………」
温度差が酷い。
まずはるるんのオムライスにブチャァっとケチャップのタワーを作って差し出して。
志貴先輩のオムライスには、アイラブユーと英語で書かせていただいた。
「……どうぞ、お召し上がりください」
「…………」
「……………………」
ぺちゃり、はるるんのオムライスのケチャップタワーが崩れた。
「…志貴ー。交換しないー?美沙ちゃんのアイラブユーなんて要らないでしょー?」
うん。待てやはるるん。
ストレート過ぎないかい?
美沙ちゃん、けっこーグサリと来たよ。