「もうヤだねぇこの子ー。志貴ー、ちゃっちゃと食べて違うとこ行こー。変人菌が移っちゃうー」


「変態菌保持者にいわらたかねぇよ。…ってゆーか!オムライス冷めちゃうからさ、止めません‼?」


オムライスを指差して、言うあたしに、はるるんは良いことを思いついたようで、口角を妖艶に上げた。


…ヤな予感しかしない…ッ。


ゾクッとした寒気と共に、はるるんはあたしの顎に片手を添える。


クイッとあたしの顎を上げれば、見えるのははるるんのドアップ。


認めたくないけど、認めざるおえない。


はるるんの顔は綺麗だ。


そして、彼は形のいい赤の唇をゆっくりと開く。


その小さな動作一つ一つに艶美に嫣然に見えて。


彼自身が情欲をかきたてるような、そんな人物なのであることを再確認させられる。



綺麗な唇の間から。


葉でいう孔辺細胞に挟まれている気孔と言われる部分から。


甘い彼の声が聞こえ出す。


「オムライスと、俺。…どっちが大事なワケ?」


ひゅっ、と喉がなった。


ボコボコと血液が沸騰するのが分かる。


色気がヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイ。


なんのスイッチが入ってそんな変態になるの…っ。


スイッチの入るタイミングがほんと分かんない。


残念イケメンから色気ムンムンイケメンに変わるタイミングがほんっと分かんないし意味不明っ。


「…美沙ちゃん、顔真っ赤」


何故か嬉しそうに目を細めるはるるん。


なんか、その笑みも艶やかに見えるし。


それより吐息がかかってくすぐったい。


「…ちょ、はるる……ん」


近すぎる彼の顔に緊張して、声が張って出ない。