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「や、そのごめんね」


「あたしは別に…」


「俺も………」


あたしの服の最終の寸法確認をする山川さんは、赤面しながら、あたしと優季をチラチラと順番に見てくるのやめてください。


そして、数回見たら、きゃー、と言って顔を両手で覆うのも止めていただきたい。


見てるこっちがさっきのことを思い出して恥ずかしいです。


黒と白のTHEメイド服ですと言わんばかりの身に付いている服に、山川さんは手慣れた手つきで針を通していく。


さすが衣装班である。家庭の成績は5に違いない。


フリフリとしたメイド服。


けれど、思っていたより派手でなくて、安心した。


至ってシンプルな一品である。


「…優季は寸法確認いいの?」


「もう昨日した」


「…ふーん」


「あぁ」


はい、会話終了。


何ここにいる人たち。


あたしとまともに会話してくれる人がいないんですけど。


「倉條さん、と…橋本くん…………きゃーーー」


山川さん、それ何回目ですか‼?


飽きない‼?てゆーか、飽きてください!!


ほんっと、恥ずかしいんですけど‼?


「……………うぅ」


恥ずかし過ぎて、涙出てくる。



「倉條さん、体調悪いの?保健室いく?そしたら、文化祭までには治る?」


ちょいと待とうか山川さん。


ここは、体調悪いなら保健室行って一日休んだ方がいいんじゃない?


でしょ‼?どんだけあたしを文化祭に出したいの‼?ブラック企業!!軽くいじめ!!


新手のいじめだよ‼?いじめ反対!!


「…体調は、大丈夫…です」


ここで、クラスメイトの安心するような神対応をするあたしはやっぱりミス優しいガールだ。