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side.S



俺は今、スマホの画面と対峙している。



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from. ストーカー
sub. アイラーブユーーー♥
20** 11月2日 19:48
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志貴先輩志貴先輩志貴先輩志貴先輩志貴先輩志貴先輩志貴先輩志貴先輩志貴先輩志貴先輩志貴先輩志貴先輩志貴先輩志貴先輩志貴先輩志貴先輩志貴先輩志貴先輩志貴先輩志貴先輩志貴先輩志貴先輩志貴先輩志貴先輩志貴先輩志貴先輩志貴先輩志貴先輩志貴先輩志貴先輩志貴先輩志貴先輩志貴先輩志貴先輩。大好き♥

明日、楽しみですね。

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こえーよこのメール。


自分の名前が34回リピートされていることが、恐怖心を煽る煽る。


「………………」


返信しなくても、いいな。


スマホをベットに投げた。


それに、あれをどうやって返すのかも、分からない。


「にしても、……」


やっぱり疑問に思うのは、何でアイツが俺なのかということ。


スゥ、と目を閉じて、記憶を遡る。


「…やっぱり、そうだろ」


どう考えも、俺から見えるアイツの好きな人というやつは、俺じゃなくてアイツ。




──『…また、名前で呼んでくださいね?』




彼女は儚げに美しく笑いながらそう言った。


少しさくらと重なって、見えた。


アイツの名前を呼んだとき、少しドクンと心臓が鳴った。


怖そうな不良面のやつに絡まれていて、撮影中だということを知っていたのにも関わらず、叫んでしまった。


2年生と3年生は校舎をトレードしたのだ。


3年生の校舎には普通の教室より2倍の広さはある特別室が多くて、2年生は大きな迷路やお化け屋敷などの出し物が多かったから、3年生と校舎を代えて貰ったのだ。


3年生は受験ということで、楽な動画鑑賞、休憩所、荷物預かり所……など。テキトーな物が多いので、仕方ない。


靴がある下駄箱は、2年校舎にあるので、少し自分のクラス見て行こー、と晴が言ったから、あぁなった。


「半分、晴のせいだ……」


やけくそに、ここにいない親友に八つ当たり。


暫く経つと、瞼も重くなってきて、重力のかかるままに瞼を閉じた。