「いいよ!!!お願い!朝霧くん!!」
はっ‼?なんですと‼?
もう何でもアリじゃん。
てゆーか、鬼瀬先輩がはるるんに務まると思ってんの‼?
「はるるんっ、止めんしゃい!」
「主人公だよー?俺以外に誰がつとまんのー」
鬼瀬先輩だよコノヤロー!!!
「じゃあ、また台本書くように言ってくるよ」
ガッツきモンスターは、キラキラな笑顔を浮かべて、教室に入っていく。
あぁもう。
「どうするの、はるるん」
「どうもこうもしないよーん」
「………………」
さてさてどうなる、この動画撮影。
他学年他クラスをいいことに大暴れ。
まぁはるるんが主演なら、女の子の客は大幅アップに違いない。
今、はるるんを辞退させようとどうこうしようとしても、もう教室では、台本は作られているから、逆に迷惑だろう。
「…はるるん、図書室行こ」
「志貴に会いに行くのー」
「もっちろん」
待ち時間は有効活用。
隙間時間の英単語の勉強しかり。
時間は有効活用しなくちゃね。
─キーンコーンカーンコーン。
チャイムが鳴った。
昼ごはんのチャイムである。
「………………」
お腹すいたー。
けど、身一つで来たあたしには弁当もお金も持ってきていない。
だからと言って、はるるんにお金を借りるってのも癪だ。
我慢我慢。
昼ごはん1つで、そこまで深く考えていなかった。
後悔するのは、もう少しあと。
お別れの時間ももう少し。