「君って、何で志貴が好きなの?」


「あのクールな所とか。やっぱり、なんだなんだであたしがストーキングしても逃げたりはしないという些細な優しさでしょうか。つまりツンデレ‼先輩の場合ツンツンツンツンツンツンツンデレですけどね‼しかもデレはまだ見たこともないですけどね‼いやーツンデレって萌えますよねー。それに、それにっ」


「もういいよ」


彼は頭を抱えながら、ストップをかけた。


ふふふ。美沙ちゃんのマシンガントークに恐れをなしたか。


まだまだだね、お主も。


おととい来やがれだよコンチキショー。


「質問変える」


質問変えても無駄だ。


あたしは真剣に本当のことなんて教えないよ。


全てテキトーに返すし。


「ねぇ君ってさ。いつから志貴を知ってたの?」


「入学式からですよー。一目惚れっつーやつですよー」


へぇ。と彼は訝しげに言葉を落とした。


色気のあるその言葉は、違うものも含んでいるようで心臓が変な音を立て始める。


これ。絶対やばいパータン。やばやばパティーン。


ほら。


証拠に、彼の唇は緩やかにカーブを描いている。




「じゃあ、何で。……藤崎さくらの葬式に来ていた?」






「…、っ…………」


予感的中。


どくん、どくん。


心が粟立つ。


何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で、……っ。


「………………ッ」


「何々ー、知られて不味いことでもあったのー?」


目の前の彼はあたしの気持ちも知らずニヒルに笑う。


あ、違うか。


目の前の彼は、あたしの気持ちを知ってニヒルに笑っているんだ。


油断した。


この人達は、葬式に来ていたことを知らないと腹をくくってた。


だって、たくさんの人が来ていたし。


シャレにもなく、この人の前から逃げ出したくなった。