「倉條サン」
「何」
「何考えてんだ?」
「…秘密」
「教えてくれねぇのな、お前」
「るさい。お前じゃないし、倉條だし」
「口うるせぇガキだな」
「ガキいうなオッサン」
「それ少し心に刺さるから。マジでやめろ」
「へーへーオッサン」
心に刺さるって、何歳なんだ?この男。
見た目は20歳前半。
どんだけ、化けてるか少し気になった。
「俺の年、気になった?」
ドキッ、と肩がびくりと動く。
「き、…気になってないしオッサン」
「気になってんじゃねぇか。つか、オッサン言うな」
チッと舌打ちをした彼は、机の上に置かれているタバコに手を伸ばして。
またチッと舌打ちをして、手を引っ込めた。
悪かったねあたしがいて。
このニコチン依存症めが。
「倉條」
「何」
「さっさと話して、最後らへんに楽しよーや」
にんまり、彼は笑ってみせた。
まるで、悪魔のような将来の夢が世界征服とか言いそうな悪い笑み。
ほんと、嫌だな。この人。
「いいよ、さっさと、終わらせよっか」
グラウンドに響くピストル音。
飛び交う笑い声。
あたしは、いつもこの場所に憧れ、焦がれる。