「換気してもいい?」
「あぁ。悪かったな」
「別に」
窓枠に手を伸ばし、窓を開ける。
新鮮な空気とタバコの匂いが混じって、少し変な感じだ。
外は大変盛り上がっていて、あたしとこの男だけが違う空間に取り残されたようだ。
「……倉條」
「なんですか?センセ」
彼を見ると、クククと喉で笑い、カナちゃんじゃねぇのな、と言った。
「なんで二人でいるのにカナちゃんなんて呼ばなきゃいけないの」
「いや、だって。俺、カナちゃんだし」
「意味不明」
ぷいっとあたしはまた外を眺める。
保健室はグラウンドの真っ正面。
体育祭を見るときの穴場スポットだ。
「俺、すれ違うといつも、橋本にすんごく睨まれんだけど」
「知るか。笑顔でも浮かべといて」
「冷てぇなぁ」
「…………………」
無視無視。
そう心に決め、ギシッというスプリング音とともにベットに腰を降ろした。
「………………」
「……………………………」
静かな空間。
騒がしい外の空間。
まるで、あたしに確認をしているようだ。
あたしは外の空間にいれる人間じゃない、と。
あたしは混じれない、と。
「……………っ」
なんか、悔しいなぁ…ほんと。