****
『今から、クラス対抗100㍍を始めます。次のムカデ競争に出場する生徒は─────
大きな声のアナウンス。
ぱんっ。と響くピストル音。
微かに香る火薬の匂い。
しかし、あたしは制服姿。
「はぁ……」
たまらず、あたしは溜め息を吐いた。
騎馬戦ね騎馬戦。
あたしもしたかったよ。
あたしの身長から行くと、迷わず土台の方になるけども。
上履きに履き替え、静かな校舎を歩く。
一年校舎から二年校舎。そして、三年校舎に目的地である保健室がある。
目の前の教室のプレートには『保健室』という文字がかかれていて、中にいる人とこれから数時間いると思うとゾッとする。
でも、大丈夫。お昼には優季が来てくれるに違いない。
だって、お弁当はキャラ弁。しかも女の子に人気なフルッティープリ○ュアのキュアキウイだもん。
文句を言いに来てくれなきゃあたしが困っちゃう。
てゆーか、ドン引きしちゃう。
「失礼します」
思いきって、扉を開けると。
保健室特有のツーンとした消毒の匂いが鼻を掠める。
「よく来たな」
目の前の不良みたいな男は、椅子に座り、タバコを吹かしていた。
「タバコ……………、」
そう呟くと、彼は察してくれたようでタバコを灰がらに押し付ける。
マジでなんで教師してんの。
どっから見ても、そこら辺のヤから始まる職業の方がピッタリかと思うんだけど。