「お前、マジで学校行くの?」
じろり、と彼はあたしの制服を睨む。
「え、ダメ?カナちゃんとお話してるだけだよ?」
「…………………」
それが不安なんだ、というような視線を向けられ、あたしは心の中で共感をした。
あ、そういえば。
今日、一緒に行かないって、志貴先輩達に連絡してない。
一般生徒は8時30分までに登校。
あたしは、カナちゃんに9時30分ぐらいに登校しろとの命令を受けた。
所謂(いわゆる)、社長出勤である。
まぁそんなこんなで、一緒に登校できない。
志貴先輩のクラスTシャツ姿を見れないのが、いと悲し。
いいもんねいいもんね。
保健室から愛しの志貴先輩を見つけて、写真撮るもん。
「てゆーか、もう時間じゃない?」
優季は時計を見て、ふっと溜め息をついた。
優季が行ったら、志貴先輩にメールしよっと。
彼はお弁当バックを片手に、玄関に向かう。
あたしも、それに続く。
「いってらっしゃい」
「ん」
優季の見送り。
気分は新婚ほやほやの妻。
まぁそんなことはどうでもよくて、バタンと閉まったドアを背にあたしはまたリビングに戻る。
充電器に差し込んであるスマホを取り、メールを作る。
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to 大好き志貴先輩♡
20** 9月**日 07:45
sub 布団が吹っ飛んだ。
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今日、風邪引いちゃったから、一緒に行けません。
だからと言って、泣かないでくださいね。
もし、泣きたかったら、明日、あたしの胸で泣いてください。
心よりお待ちしております♥
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……送信、っと。
これでオーケーオーケー。
やるべきことはしたね、うん。
あとは時間を待つだけである。