「…悪いけど、朝も俺が来ることになった」
急な宣言。
あたしは顔をしかめた。
「忍さんが、言ったの?」
「まぁな。親父からだ」
なら、仕方がない。
優季のせいじゃない。
「うん、分かった」
「…………お前、戻る気はないのか?」
ゆらりゆらり、と揺れる彼の瞳。
その色は心配で、あたしの心もゆらりゆらり、と揺れる。
「戻る気は、……ないよ。…戻ったって…もう意味はない気がするし、…」
「………………」
苦虫を噛んだような苦痛に耐えるような、彼の表情。
何で朝からこんな不穏な空気なのだろうか。
イヤだ。そんなの嫌。
「朝も優季が来る。あたし、優季といっぱい一緒に居れて嬉しいよ?だから、さ。ね?ポジティブに行こーぜ相棒!」
「誰が相棒だコラ」
いつも通り、いつも通り。
「では、優季との初朝ご飯を作りましょうかね。何がいい?」
「わしょ「和食よりフレンチトーストだって?合点承知」
和食気分じゃないのよあたし。
ミルクティーを一気飲みして、席を立つ。
「手伝った方がいいか?」
「優季に手伝われたら、あたしがいつのまに手伝い側になって、キッチンから追い出されるから嫌」
「あっそ、じゃ。待ってる」
「んー」
朝御飯を作ろうじゃないか。
あたしは、裾をまくり、気合いを入れる。
「いざっフレンチトースト!!」