「…………………」
何でここで藤崎ちゃん?
悪のボスとキュアストロベリーの言い合いをBGMに、虚ろな目は美沙ちゃんと視線が合う。
寝ぼけてるよこの子。
え、何押し倒してほしいの?
からかい半分で声をかけようとする前に、彼女は形の整った薄い唇を微かに開ける。
「なんで、そんな、約束をする、の…?」
彼女は回ってない滑舌で、小さく呟くように言う。
「………………」
「なん、て、あな、たは残酷、なの。あたしの気持ち、は…?」
美沙ちゃんの気持ち…?
「……………………」
「あた、しは、…恋しな、い。好きに、な…………………」
どんどん小さくなる彼女の声。
それと反比例する加速する心臓の心拍数。
こくり、と寝ぼけ終わった彼女は、また眠りにつく。
くしゃり、と髪の毛を掴む。
「…は?意味わかんね……」
『さくらさん、なんでそんな約束をするの?なんてあなたは残酷なの。あたしの気持ちは?あたしは恋しない。好きになってない』
最後の文は途中で途切れしまったから、前文からの憶測だけど。
寝言…、なはず……?
さくらさん、約束、残酷、気持ち、恋しない、好きになってない。
意味がわからない。
もし、これが本当なら。
ここにいる美沙ちゃんは何者なわけだろうか。
違うことについての話題かもしれないじゃん。
全部、藤崎ちゃん言ってるわけじゃないじゃん。
だけど。
どうして、こんなにも。
───胸騒ぎがするのだろうか。