side.H
駅に入っていく彼女を見送った。
さっきまでの彼女は恐ろしかった。
ドーナツ7個をペロリと平らげたのだ。
甘くて可愛いドーナツを食べてる女の子って可愛いけど、7個を食べる彼女は完璧ホラーだった。
もう駅の人だかりに紛れて、見えなくなった彼女。
さてさて、俺の完璧なるポーカーフェイスもこれで終わりとしよう。
「どういう意味なの、アレ…………」
ぐるりぐるりと渦を巻く心の感情。
混乱。狼藉 。乱脈。 紛糾 。渾沌。
あの美沙ちゃんの言葉を思い出す。
「………………っ」
ブレイバック一時間。