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「ん、………ぁ。ぁあ""‼?」
ええええええええ映画が…………ッ!!!
「終わってるううううううぅぅぅう‼?」
「うるさ」
目をゴシゴシゴシと手で擦るはるるんが体を起こしながら、そう言った。
彼は寝ていたからしてか、少し声掠れてる。
その声結構好きかも…………じゃなくて!!
あたしは声フェチじゃない!断じて!
いや、なんの誤解といてんのあたし。
いや、確かに志貴先輩の低温ボイスはボイスレコーダーに50本くらいは録音してあるけどもっ。
「あたしは匂いフェチだよコロヤローッ」
声フェチと大違いだ!語弊だ!
「何起きて早々変なこと言ってんのー元気でなによりー」
起きて早々…………だと?
「やっぱり、あたしは寝てたの?」
「自覚なかったの?」
それ頭ヤバめー、と軽く笑い飛ばした彼。
言ってることは、軽くすまないほど、重く深く心に突き刺さった。
「とにかく出よっかー。美沙ちゃん、一人コント広げてたし、もう人いないしー」
「うん」
渋々、あたしは彼の後を着いていく。
映画館を出ると、最初に身を包んだ夏と秋が混ざった空気と香り。
もう9月。
秋の入り口は目と鼻の先。
夕方になるとヒンヤリするなぁ。
なんかもう夏は日中だけだなぁ。
あの夏祭りが懐かしい。
「はるるん、寒いからカーディガン明日でいい?」
「あ、うん」