この映画館は1階が駐車場で、2階が映画館になっている。
階段をゆっくり登って、やっと到着した本体。
自動ドアが開くと、中の冷たい空気が流れてくる。
意外と寒いなぁほんと。
参っちゃうんだけど。
「…はるるん、寒い」
「ん?カーディガンならあるけどー?」
「それちょうだい貸して」
「はっ‼?俺のなんだけど‼?」
「知ってるし。寒いんだからいいでしょ?」
コイツ意外とケチなのか。マジでケチじゃねぇの?
しかもなんか挙動不審だし。
大丈夫なのだろうか。
彼の目を下から覗きこめば、彼と視線がゴッツンコ。
ワオ、デシャウ。
「…~~~~ッ!」
彼は顔を赤くする真っ赤にしたのであった。
「カーディガン貸して」
「分かったから!とにかく離れて!」
いつもの距離だと思うんですけど。
ただあたしが下から覗いてやっただけだと思うんですけど。
彼は今は頭パッパラパー星人である。
何を言われるかも、されるかも分からない。
とても危険な状態である。
一応、1歩のみ引いて、はるるんの出方を伺った。
カバンを開けて、ガサゴソ探ることなく、キャラメル色のカーディガンが出てくる。
はるるんのカバンの中は意外と綺麗だと見た。
女子力たけぇなオイ。