「悪い。まさか、そう来るとは思わなかった」


「………………」


そう来るって何。


なんかあたしが変人、みたいな。


「………………」


「………………………」


妙な沈黙が流れる。


なんか、あたしがスベったみたいな空気じゃね?


そもそも、あたしはウケ狙ってないし。


うんうん。そもそも、お口から本音がポロリしてしまっただけであって、あたしのせいでなく、いや、そうかもしれないけど。あたしが百パーセント悪いわけでなく、じゃあ、あたしは何パーセント悪いとか、そーいうのじゃなくて。じゃあ、どういうのだ?そもそも、悪いとか、パーセントで表せれるの?てゆーか、何の話しててこうなったんだっけ。あれ?なんだった?マジで。何であたしは何があって悲しく一人、心の中でマシンガントークしているわけ?


………………。


「とにかく、落ち着こ。では、深呼吸ー」


すーはーすーはー。


「………………」


「……………………」


「……悪いけど、なんの話か覚えてない」


「老化か。……老眼鏡は要るか?」


「優季嫌い」


ぷいっとそっぽを向いて、ちょっとした反抗で早歩きをした。


勿論、嘘で。


むしろ、大好き過ぎて困るくらい。


なのに、優季は本気で捉えたらしくズーンと落ち込み始めて、しゅんとした子犬のよう。



「…嫌い、か。そっか…。確かに鬱陶しいしな俺…過保護過ぎたか……俺…………俺は…」



え。何この美沙ちゃんが悪いんだよ謝れよ的雰囲気は。


あたしが悪役的な雰囲気は何。


周りのマダム達も心なしか視線であたしを攻めている。


全員の顔覚えてやるからね!明日くらい果たし状送ってやろうじゃねぇかよオラオラ。


「大好きだよ、優季」


マダム達の顔よりも、優季の方が大切。


あたしは、優季の腕に自分の腕を絡めた。


飴色の瞳は、目を大きく開けた。