メールを確認すると、送り主は思った通り。


彼の文面を見ると、思わず溜め息を吐く。


「すいません、先輩。少しこれから用事があります」


「別に関係ない。…つか、何その変な着信音」


先輩が生ゴミを見るような目であたしのスマホを見つめる。


「可愛くありません?」


「…………………」


え。無視ですか?


「先輩もこの着信音にします?」


「やりたくない」


そんな速答しないでください。


「オソロとか憧れません?」


「一人でしてろ」


美沙船、撃沈。


「もう先輩照れ屋さん☆」


ツンツンと彼の腕をつつくと、彼は絶対零度の視線をあたしに返してくれた。


うへへへへ。


少し進歩したかも。


そう彼の反応を見て、そう思ってしまうあたしは意外とM気質かもしれない。


「まぁ先輩。今日は急用ですから、放課後デートは諦めます」


「………………」


「なんでしょうか。そのデートじゃねぇよっていう視線は。あ、でも。ただ睨まれただけなのに視線の意味が分かるなんてすごいですよね‼やっぱ以心伝心ってやつですかっ‼嬉しいですね‼先輩‼」


「……さっさと行け」


え。スルーですか?さいですか。


まぁいいや。


「分かりました。先輩、さようなら」


あたしは精一杯の笑顔を彼に向けて、目的地へと足を早めた。


ふとさっきのメールの内容を思い出す。


「なんか嫌な予感……」


またため息が漏れてしまったのは、言うまでもないだろう。