もしかして、コンビ名に不満があるの?
「H₂Oが良かった?O₃が良かったの!?」
「美沙ちゃん。もう学校だから、お別れしょっか」
目の前にはいつの間にか学校。
気付けば現れた学校。
「もしかして!」
バッと二人の視線が一斉に向く。
きらきらきら、と輝いている。
まるで自分の過ちに気付いたのか!?と言わんばかりの。
過ち?美沙ちゃんには、過ちなどない。
あたしが気付いたのは…。
「あたし、もしかして忍者かもしれない!」
「………………」
「………………………」
学校の前にシュシュと現れたんだよ‼?
まさに忍者!
やばくない‼?やばいよね!
「放課後空いてるか?」
まさかの志貴先輩からのお誘い。
優季と枕を買いに行こうと約束していたが、キャンセルにしてもらおう。
「もちろん空いてます!」
「精神科に着いてってやる」
「………………」
志貴先輩の誘いと言えど、病院……。
「あ、すいません。今日は空いてなかったです」
「はははっ、初めて志貴の誘い断ったー」
煩いな。こっちにも事情ってモンがあんだよ。
「じゃあ、また明日。志貴先輩、はるるん」
「あぁ」
「ばいばーい」
大きく手を振り、あたしは一年校舎に足を踏み入れたのである。
夏休み前。
こんないつも通りの日常を繰り返し、夏休みに突入したのである。