「せんぱーい、置いてかないでくださいよー」
あたしも先を進む彼に追いつこうと、足を早めた。
ちゃらりちゃらり、と鞄についているキーホルダーが揺れる。
1つは少し大きめな熊のキーホルダー。
もう1つは綺麗な音の鳴る鈴。
全部大切なもの。貰い物。
───ちりんちりんちりんちりん。
特にこの鈴とか。
あたしにとっても。
彼にとっても。
「お前、……その鈴、…」
志貴先輩はあたしの鞄のキーホルダーをまじまじと見つめる。
「鈴ですか?あたし鈴好きなんですよね。これは広島の神社の所の鈴で、……って先輩聞いてます?」
「………………………別に興味ない…」
嘘つき。
ほんとはとっても興味があるくせに。
必死に忘れようと。抑えようと。
しているくせに。