路地裏から必死にはるるん達の様子を伺う。


今、女の子が絶讚はるるんナンパ中だ。


「…おい、手」


ん?


「あ、ごめんなさい」


手を急いで離すと、その所はシワだらけになっていた。


もうバカ。何やらかしちゃってんの。


「ごめんなさい、」


「…ん」


意外とすんなり。


少し調子が狂っちゃうじゃないか。


けど、んなことで調子を狂わされる場合じゃない。


「…あ、はるるん達が動いたから後つけますよっ!」


「……………」


何事もなかったように路地裏から出る。


変に隠れたり、変装するより、堂々といた方が見つかりにくいに決まってる。


まぁ一応、遠目からは誤魔化せるように眼鏡とか制服を適当に着崩したりはしておいた。


「…今からはるるん救出作戦の計画を手短に説明します」


「………………」


「…はるるんがラブホに入ったら、あたし達も入ります。勿論、部屋を借ります」


「は?」


志貴先輩があり得ないという顔をする。


そりゃそうだ。何故にあのピンクワールドに入らなきゃいけないのか、という話だ。


高校生だし、気持ちがいいものではない。


「あたし達はただホテルに入るためにチェックメイトするだけでら不純異性行為をするためではありません」


「……………」


「先輩は部屋で待ってたらいいんです。あたしがはるるんとこに行ってくるんで」


「ちょっと待て」


「何でしょうか」


「お前、割り込む気じゃ、…」


「よく分かりましたね。その気ですよ。もちろん、おっ始める前を心掛けますが」


「…そこまでする必要ねぇだろ」


「あるんですよ。あたしは志貴先輩達とは違う」


彼の瞳を見て告げた。


本当だ、と。本気だ、と。


伝わるように、真っ直ぐ彼の瞳を見る。




「あたしは志貴先輩は違うんだよ。なりふり構わずはるるんを助けるよ」


水が打ったような静けさのあと、彼は舌打ちをしてから、あたしを睨んだ。


「…勝手にしろ」


「合点承知」


そんか会話をしていると、ターゲットの足が数十メートル先のピンクの世界“スターディオ”という看板の前で止まる。