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「はるるーん、早く開けてよー。2週間ぶりだから緊張してます、とかどーでもいいからさー」


彼の家に着いてからかれこれ10分。


はるるんは何故が扉を開けないで入れている。


あぁもう!焦れったい!


先手必勝!いざ美沙ちゃん、レッツラゴー‼



──ピンポーン。



「フッ、見たかはるるん」


清々しい程の笑顔を彼に向けると、彼はあたしを睨んでいた。


「見たかじゃないよーマジでー。何してくれてんの。マジで何なの。ほんとあり得ない」


「いやいや、やっちゃったんだから、あり得てるよねコレ」


「志貴、美沙ちゃん生ゴミの袋に入れて捨ててきてよ」


「…生ゴミじゃねぇだろ」


はい‼?聞き捨てならないんですけど!


「プラスチックですか‼?アルミですか‼?スチールですか‼?」


「…うるせぇ」


こんな茶番を広げてると、ガチャリと目の前の扉が開いた。


ここからが美沙ちゃんの見せところ。


スターディオ、という名のラブホは準備運動に過ぎないのだ。


スターディオ。イタリア語で“勉強”。


はるるんはあそこであたしが言ったことを勉強をしてくれただろうか。


あ!そこ!大人の勉強とかいやらしいこと連想させない!


確かにあそこは大人の勉強をするところだけどもね‼?


あたしゃあ、別の事をちゃんと教えたつもりだよ。


はるるん。



だから、ちゃんと仲直りしようよ。



お母さんもお父さんも妹ちゃんも、








────皆、はるるんを見ているんだから。




カチャリ扉が開くと。


「晴…?」


「母さん?」


お母さん登場。


目的地はリビング。ここでお話されるのは、ちょっと嫌だ。


あたし、座りたいし。疲れたし。倒れたらどうするんだって話だ。


それに一番重要な妹ちゃんがいないじゃん。


「はるるん、お母さんと感動の再会も良いけどさ、時間ないし中入ろ…いてっ」


何故に殴るのだ志貴先輩よ。


きっと彼を睨むと、ご丁寧に睨み返られた。


「…はるるん、ごめんだけど、あたし時間がないからさ…」


ナイス演技力だと思う。


今日は9時までと優季に約束してきたから、時間は全然余ってるのだ。


「…あぁ、ごめんごめーん。母さんら中入ろっかー。双葉はいるー?」


「双葉なら多分、リビングで宿題をやってると思うわ」


双葉ちゃんねぇ双葉ちゃん。


なんか親近感湧くよホント。


「では、お邪魔します」 


「お邪魔します」


「んー、入って入ってー」