「トモダチだから!トモダチがトモダチ助けるのは普通でしょっ!」
彼女は笑顔で言ってみせた。
何なのこの子。
もとからズレてるって思ってた。
藤崎ちゃんが居なくなって、志貴が傷付いているのに、付きまとったり。
変なこと言い出すし。
無駄に頭いいし。
橋本優季と仲良かったりするし。
助けたい、とか言ってるし。
無駄に綺麗な容姿してるし。
変な子って、変人だと思っていた。
なのに、なのに。
欲しい言葉を的確にくれる。
志貴が好きなのに、俺なんてどうでもいいはずなのに。
俺を見てくれている。
「手、放して」
「……えー待ってよ。写メまだ取ってないんだけど。はるるんタコ顔、待ち受けにしたいから待ってよー」
うん。この子はほんとシリアスになりきれない。
彼女は片手で両頬を押さて、ポケットに手を突っ込む。
マジであり得ない。ここでスマホ取り出す?
そして、写メる?ここでじっとしてる俺も俺だけど。
カシャ、と機械音が部屋に響いて、彼女は数枚取ってから満足げにスマホをポケットに戻した。
「えーっと、なんだっけ?変顔大会に一緒に出ようって誘ったんだっけ?」
………頭を抱えたくなる。この時のためにある言葉だと思った。
うーん、と彼女は考えてから、思い出したようにあーーっと叫んだ。
「はるるんっ、あたしじゃダメですか!」
何この直球。
色々大切なところが要約されて、違う意味に取れるんだけど。
でも、この子を見てると、安心する。
このアホさが安心する。
「…いいよ。美沙ちゃんがそれでいいのなら」
「マジで‼?やったーーーーっ」
彼女の笑顔を見てると、心が暖かくなる。
あぁこの気持ちって、もしかして。
「ちょっ、…はるるんっ‼?」
「今からじゃないの?寂しさを埋めてくれるんじゃないの?」
「…まぁ、…うん、まぁそう言うことだけど」
彼女は恥ずかしいのか語尾が小さくなる。
そりゃそうだ。
急に抱きつかれたら、恥ずかしいに決まってる。
どくどくどく、と異常に早く波打つ自分の心臓。
なんで、こんな子が、
────好きになってしまったんだろうか。