「まりんちゃんと付き合ってるんだって⁉︎ やったね!おめでとう!」
「はぁ。どうも」


メデてーもんか。
…メデテーのはそっちだろ⁉︎



「青春してるね!羨ましい!」


どこまで人を傷つけりゃ気が済むんだよ、この人は…。



「センパイも…エンジョイしてるじゃん!」



ガマン限界。
オレは自分の気持ちもぶっ潰す!


「えっ…」

「付き合うことにしたんでしょ!ダイゴと!」



わざと大きな声で言った。
周りが驚く。
勿論、アイツも驚いてた。


「オメデトー!オレ、ダイゴの親友として、鼻が高けぇよ!」



にっこり。
これがオレの気持ち。
センパイ、受け取ってくれよな。



「あ…ありがとう……そんなふうに言われると…ちょっと、嬉しいかも…」



涙ぐむのかよ。オレの前で。


(……っふざけんな!)


恨みが倍増する。
伝えられねぇ気持ちを抱いたまま、こんなトコにいられるか!


「休んでこよー!」


スキップしながら出て行く。
残されたセンパイの所に部員が集まる。
キャーキャー奇声が聞こえる。
その声が胸の中でキーキーと音を立てる。


(いい加減にしてくれ!これ以上オレを、イジメないでくれ!)



水道の水を頭からかぶる。
こんなふうにでもしねぇと、気持ちが収まらねぇ。


……パタパタ…と近づく靴の音。
振り向くと、あの日のように、アイツがそこに立っていたーーーーー