「何だよ」


軽くツッパった言い方。
コイツとは極力喋りたくねぇ。



「あの…まりんちゃんのことだけど…」



丸い目がこっちを見る。
この目を見ると、イヤな気持ちになる。



「…本気なの…?付き合うって…」


気持ちを知ってるヤツに逆なでされる。
そんなの、コイツにして欲しくねぇ。



「…本気だよ。…いけねぇのかよ!」


腹立たしく答えた。
怒りてぇのは、コイツじゃねぇのに。



「だって…河口君が好きなのは……」


言いかけて止める。
……ダイゴが…下りてきたから。


「…何だよ、テメェ、言いてぇコトあるなら言えよ!」


思いっきり、否定してっやっから。


「きのした はるな」が無言でいる。
オレの目を見て、視線を下げる。
くるりと背中を向けて、バタバタ…と走り去った。


(……意気地なしめ…)



自分のことを棚に上げる。
サイテーなのはオレ。
ウソつきなのもオレ。

……アイツはそんなオレのことを、問い正しにきただけだ。



(どいつもこいつも…お節介だらけだ!)



ほっといて欲しい。
知らん顔してくれ。
オレがただやりてぇように…やらせてくれよ!


「…今のハルナちゃんだろ⁉︎ どうしたんだ⁉︎ 」


ダイゴが不思議がる。
9年連続同じクラスになるような奴に、オレは平然とウソをつく。


「さぁ?ハラでも壊したんじゃねーか?」