「…お前…降りろよ」


まりんの為を思って言った。



「お前まで叱らんなくていいんだぞ…」



怒られんのはオレだけでいい。こいつまで、巻き込みたくねぇ。



「いいから!今日は一緒にいるって言ったじゃん!」


ガンコな奴。やっぱニガテだ……



「……だったら好きしろ!その代わり、マジで知らねぇからな!」



責任取ってくれなんて言わないと言う。

こいつはホント、何考えてんだ……。




ドアに凭れたまま、まりんに背中を向けた。

一緒にいてくれるのは、有難い。
ホントはほっとかれても仕方ねぇのに、ついててくれるのは心強い。
でも、実際は知らん顔してて欲しい。
『風見鶏』の一人として、素知らぬ顔でいて欲しい。




ガタゴト…と揺れる電車の音に耳をすませる。
余計な事を思い出さずに済むよう、自分になりに努力してた。



「……ソウヤ……何があったの……?」



ラインのやり取りをしてた奴が話しかける。




「…何も…別に…」



わざと思考回路止める。



「ウソ……。絶対何かあったでしょ。あんたみたいな意地っぱりが泣くなんて、おかしいもん!」

「お前だって…さっき泣いてたじゃん!」


人のことばっか言うなよ。




「あれは……あんたが普通じゃないと思ったから……そんなソウヤを一人にできないと思ったから……!」

「お節介」


呟くオレに黙る。