「…だって…ソウヤ…泣いてたから…」


言いにくそうな答え。
そんな言えないセリフなら、黙っとけばいいのに。


「悲しいことあると、海に行けばいいって言うじゃん?だから…」
「バカバカしい…」


呆れた。一般論かよ。



「じゃあどこ行くつもりよ!」


いつものまりんらしくなってきた。



「そうだな…まだ決めらんねぇな……」


ゆらゆら揺られてた方がいい……。

何も考えずに済むんなら、その方がいいって気がしてた。



「……だったらさ…」


まりんが言いかける。
ジロリと睨んだ視線に気づき、一瞬押し黙る。
でも……やっぱり口にする。



「…山行かない?ロープウェイで登るトコ!」


この沿線にあるじゃん…と話しだす。


「あそこなら人来ないし、学校サボってても目立たないよ!きっと!」


街中は警官とかいて、すぐに見つかるから…とか言う。
頭の冴えてる奴ってのは、そんな事まで考えるらしい。



「…面倒くせ……どこでもいいよ…」


頭の中がゴチャゴチャしてる。
悩んでる事が多すぎて、頭がおいつかねぇ。



(悩んだって…何も変わんねぇけどな……)



外の景色を眺める。

今頃、ミドリに連絡が入ってるはず。

なのに、何も言ってこねぇって事は、多分サボるのが予想ができたって事だ。



(…散々悪態ついたもんな……あたり前か…)


帰ったらツヨシに殴られるんだろうな…と予測する。
それでも今日は、やっぱり行きたくねぇ…。