……ギュッ!っと握られてた手の力が抜けた。

驚いた目が見開いてる。
涙が止まってる。
止まったかと思ったら、また泣き出した……。



「な…何すんのよ……!」


オレから離れようとする。
今度は、オレが、奴を離さねぇ。



「離してよ…!」


力入れようにも入らねぇ感じ。
気のせいかもしれねぇけど、何だか少し震えてる。



「頼む…もう少しこのままでいさせてくれ…」



お願いした。
まりんに体を預けてたら、自分が楽になれる気がした…。



「…イヤよ…人に見られるじゃない……」


そう言いながらも、撥ねつけようとしない。
オレが肩を抱いてても、イヤがったりしてない。



「…まりん…」



優しく名前を呼んだ。
肩を抱かれてる奴がビクつく。


右手でアゴを押し上げる。
ピンク色の唇が目の前に開かれる。
そっ…と指で撫でる。


まりんが震えてる。

その体を抱きしめて、もう一度、キスをした…。



…傷を癒すように…

心を…

慰めるように…


そっと…
優しく……




「……サイテー…」


まりんが呟いた。


「私のこと…好きでも何でもないくせに……」


突き離される。


「ファーストキスだったのに…。サイテー…!」


悔しそうな顔される。
その顔を見ても、謝る気にはなれなかった…。



「…そっちが泣き止まねぇからだろ…」


捨てゼリフ。
ほんとにオレは、どうしようもねぇバカタレだ…。