(………できる訳ねぇ…)





…しゃがみ込んだ。



ぼたぼた…と汗と涙が落ちてくる。

そんなことしたら、兄貴に吹っ飛ばされる。

お前はバカか!って怒鳴られる………

命の粗末にすること程、バカなことはない!……って、絶対に怒られる……




(でも…ニィちゃん……オレは今……スゲぇツラいよ………)


3年間、片思いしてた相手に良いように利用されて…。
親友からも、裏切られて…。

逃げたい過去からも逃げられず、距離はどんどん近づいてくるーーーー


「どうしたら…いいんだよ……」


通学、通勤の人波が動き出す。
前にいた人達と交差して、反対側にいた人達が押し寄せてくる。


フラッ…と立ち上がる。

よろつきながら歩き出すオレの前に、オンナが立ちはだかった。




「どこ行くのよ。学校は反対よ!」


強い言い方に顔を上げる。
驚いたような目をした奴が、オレを見てる。


零れ落ちそうな汗と涙を拭って、何も言わずに進もうとした。



「待って!ソウヤ!どこ行くの!」


呼び止めて手を掴む。


「放せ!握んな!」


腕を振り回す。


「…イヤよ!だってあんた、普通じゃないもん!!」


握ってる手に力が込められる。
何だってこいつは、こんなに力が強ぇんだ……