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宿泊学習の場所は、高原の中に建つ青年の家『カイロ』
穂波センパイの言ってた通り、その名前の由来を延々聞かされた。
「…ヤレヤレだな…」
開校式を終えて、飯盒炊飯の場所に集まる。
米研ぎと材料切りを二人に任せ、オレと「きのした はるな」は薪集めに山へ入った。
「…生木は集めんなよ!燃えねぇから!」
一応、声をかける。
ヤツは分かったように頷いて、薪になりそうな小枝を探してた。
生い茂った草むらの中に紛れそうなくらい小さいヤツを目で追いながら、オレは黙々と小枝を集めた。
「キャッ…」
短い悲鳴のようなものが聞こえて振り返った。
ついさっきまでそこにいた「きのした はるな」の姿がねぇ。
「おいっ!どこ行ったんだよ!木下!!」
声を上げた。
手に持ってた薪を放り投げ、ヤツのいた辺りに近づいた。
「ワッ…!」
足元が抜ける様な感覚がして、一気に下へ滑り落ちた。
ドスン!と何かにぶつかり、驚いて振り向く。
「…河口君…」
頬っぺたに泥を付けたヤツが、目を丸くしてる。
どうやらオレ達は、崖下に落ちてしまったようだ。
「…大丈夫⁉︎ ケガしてない⁉︎ 」
「…そっちこそ、ケガねぇか…?」
お互いに確認し合う。
「右肘が痛いけどヘーキ。…河口君は?」
「なんともねぇ。お前がクッションの役目してくれたから」
…ありがとな…なんて、オレが言ったら驚くな、きっと。