「なんでだよ!」


野山に入って薪集めなんて、オレはやりたくねぇよ。


「ハルナちゃん一人だと心配だからさ、お前、フォローしてやって!」
(…兄貴か…オメェは…)


押しの強い所が似てる。
そんなダイゴに逆らうこともできねぇから、大人しく言うこと聞いてやった。

「分かったよ…」


ブスッとしながらも、心は浮き足立つ。
アイツと二人、ゆっくり話ができるかもしれねぇ。


……自分の気持ちに気づいてから、オレはアイツと話がしてみてぇ…と思った。
あの日、兄貴の代わりに会いに行った理由も含めて、いろんな気持ちを聞いてみてぇ…と考えた。


(オレのことまで「そうちゃん」だとか言ってたし…その割にはあん時だけだったし…)

「そうちゃん」という呼び名は特別なイミがある気がして、なんであの時だけ言ったのかが気になってた。
もしかしたら、ヤツもオレを…なんて、自惚れもあった…。


(…それだけはねぇか…)


散々な悪態をついてきたのを思い出した。
ビンタもしたし、バカだのアホだの、ヒドい言い方もした。
何より兄貴が死んでしまった事実を、あんな言い方で教えてしまった。


(腹いせだよな…兄貴に対しての…)


10年間もヤツの心を独り占めしてた。
死んでも尚、ヤツの中で生き続けてた。

その事実が悔しくて歯痒くて仕方なかった……。


…だからって言い過ぎ。

腰が抜けるように足元に崩れ落ちたアイツの姿を、今も思い出しては後悔ばかりしてた……。