「…ほら、終礼始めるぞ!日直!号令!!」


掛け声で始まる。

自分の席に戻ってきたヤツは、あの日と同じ笑顔でオレに礼を言った。



「ありがとう、河口君!…私の大事な…そうちゃん!」


ニッコリと向けられた笑顔が、オレの目を釘付けにした。
あの日と同じように胸の動悸が激しくて、スゴく慌てた。


「だ…誰が『そうちゃん』だよ!それは兄貴の呼び名だろ!」


テレを隠すようにそっぽ向く。
隣にいる「きのした はるな」は、クスッと小さな笑い声を立てて……


「そうだったね。でも、私にとっては『そうま』君も『そうや』君も、大切な『そうちゃん』だよ!」


…意味の分かんねぇこと言った。

これだから、オンナにはついてけねぇんだ…。


ドキドキしながら感じる胸の鼓動。
あの日の思い出が頭をかすめてく。


……オレが抱いてた「きのした はるな」への憎しみは、いつしか、他の気持ちにすり替わってたようで、それを悟られまいとして起こした数々の行動を、自分自身、ドギマギしながら受け止めたーーーーー