「…好きにしろよ。オレはともかく、兄貴はお前のすることなら反対しねぇよ」


行け行け…と手を振った。
「きのした はるな」は嬉しそうな顔をして、まりんの席に走って行った。


今までみたいに、『風見鶏』のジャマは入らなかった。
大きな声で怒鳴り合ってた時、アイツがまりんのことをどれだけ心配してたか、鳥たちにも十分伝わってた筈だから。


まりんは急に話しかけられて、最初はイヤな顔をしてた。

でも、自分が逆恨みを言ったにも関わらず、イヤな顔一つせず、あの日のことを説明する「きのした はるな」のことを、じ…と黙って見つめてた。


「…ウソついてごめんね…私の口から話してもいいかどうか迷ったから…。カンケーないとかも言ってごめん!ホント…ごめんなさい…!」


必死で謝るアイツに、まりんの方から抱きついた。
グスグス泣きながら、大げさに謝り返してる。
「きのした はるな」に意地悪してた奴らも加わって、教室内は結構な騒ぎになった。



「なんだ…⁉︎ 青春中か…⁉︎ 」

マヌケなこと言って緒方さんが教室に入ってくる。


「青春もいいけど、お前ら来週から中間テストだぞ!それが明けたら、宿泊学習だからな!」

デリカシーのない言葉を並べ立てる。


「うぇ〜っ!」
「サイアクー!」
「テスト、大キライー!!」


クラスの奴らからヤジが飛ぶ。
その声の静め方も、緒方さんなら、そのうち身につけていくだろう。