｢えー！葵また彼氏できたのー!?｣
｢一個上とか...ほんとよくやるよなぁ｣
｢格好いいんだもん！しょーがない！｣
窓の外を眺めながら、ぼんやりと三人の会話を聞く。
私達四人はいつも、大抵誰かの恋バナで盛り上がっている。私が中心にいることはないけど。
｢ねー！夏希はどう思う!?｣
｢...え？｣
身を乗り出して私に聞いてきたのは、恋バナ大好きな私達のリーダー、華恋。
｢さすがに一個上はないよな？｣
男勝りな口調とショートヘアが特徴的な悠貴は、そう言って溜め息をつく。
｢好きになっちゃったら仕方ないよね!?｣
惚れやすく、積極的な葵は目をキラキラさせて、私に何かを求めてくる。
いつも私達はこんな感じ。初恋すら経験のない私は、三人の恋バナにはあまりついていけた試しがない。
｢えっと...一個上はないかな？｣
恋に答えはないけど、経験が浅すぎる、というかない私は的確なアドバイスができないので、いつも誰かに合わせてしまう。
高校生にもなって初恋がまだなのは結構やばいのかもしれない...恋バナについていけないのもやばいのかもしれないけど...
それでも、この三人と一緒にいるのは楽しい。

私にも、三人みたいに恋をすることができるのかな？