「あのさー…『忘れたい』んだよね。」



「忘れたい?」


「うん。だってほら、いちおー(仮)だけど蒼汰の彼女じゃん?
なんかズルズルいろんなこと引きずっててもなーって」



「ふーん」



「でも忘れられないんだよね。なんでだろう────」


「じゃあ」


私の言葉を遮った蒼汰の声は

いつもより低く感じられた




「俺が、忘れさせてやるよ」



風になびく私の髪を 蒼汰はそっと撫でた



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