静かな笑顔を浮かべながら、クラウン、とホセは囁いた。
「ゼロさん達やアイスさん達と喋ってたんだがクラウン」
お前は、幸せの絶頂って来たか?
唐突なその問いかけに私は聞き返した。
幸せの絶頂…?
「あぁ、ゼロさんはもう過ぎたって言ってたんだよ、俺に会う前の絶対王者時代。でも俺が初めて笑ったときも幸せだったって」
ふぅん…
「アイスさんは、俺といた時間はずっと幸せだったっていうんだ…特にクラウン、いつだったか、数日アイスさんと二人っきりで過ごした時があったろ?」
あの時が幸せだったって。
ホセはどうなの、と私は聞いた。
ホセはしばらく考えて、どうだろうなぁと柄にもなく悩んだようだった。
「クラウンと付き合えた時かな…いや、ダイア達に会えたときかもしれないし…案外アクアが俺の為に泣いてくれたときだったりするのかもな」
曖昧な答えに、私は眉を寄せた。
ホセは笑みを深めて、私を抱き寄せて。
「それでもまぁ、結婚式のあの高揚感には負けるか」
ニッと悪戯に笑ったホセは酷く綺麗だった。
「で、お前はどうなんだクラウン」
私はたじろいて、ホセから目を反らす。
ホセは強引に私の視界に滑り込んできて、また薄く笑った。
「どうだ?」
わ、私は…
ホセは期待に満ちた瞳で私を見た。
と、取っておく!
「は?」
叫んだ私に、ホセは怪訝そうな顔をした。
だって、絶頂ってことは、頂で途絶えちゃうんだよ?
私はまだ、幸せになりたいもの。
「…驚いたな」
ホセは私を見つめ、綺麗に笑った。
「ロメも同じことを言うんだ…」
私は、ゼロとの結婚式かなー?
でもさ、子供もできるし、そうなったら絶じゃなくなるし。
結局来そうにないなぁ、私は。
何故私との結婚が決まっているんですか、しませんからね?
もお、冷たいなぁゼロは♪
「女っていうのはみんなそういうものなのか…」
考え深げに、ホセは言った。