唐突で悪いが、ゼロさんが泣いているのですごく暇なので俺の動物好きについて少し考えて見ようと思う。
基本的に俺は動物は好きだ。
とても好きだ。
可愛いから。
クラウンやアクアにはもっと深い理由があるんじゃないかと期待されているが残念ながらない。
深い理由としてあげられるのは、俺は小さい頃…いやさばを読みすぎだ…生まれたその瞬間からいじめられてきた。
それはもうゼロさんを洗脳してしまうほどの凄いいじめ…
運命に見放され神様にも拾われず。
石ころ1つにすら悪意を感じる陰湿どころか“陽乾”のすばらしいほど大々的な。
さっきの川なんかはいい例だが、それで泣いているようではいじめられっ子は務まらないのだ。
一晩学校の柱に縛りつけられたり。
集団リンチは登下校の習慣。
机にネズミの死骸が入っていたときにはさすがにギョッとした…
内蔵が引っ張り出されていたので。
一体誰がやったんだろうか…最後の苦しみがありありと刻まれたネズミたちに同情したものだが、人一人をいじめるために殺された命の儚さ。
後日火葬してお墓を作ってあげた。
後日になったのはその日にバケツの汚水を強制的に飲まされたからだ。
帰って寝るまでずっと気持ち悪くて吐いた。
そんな今となっては笑い話の(ゼロさんはすぐ泣くけど)いじめだが、そう長くは続かず。
地獄に入ってからは陰湿なものに様変わりして、流刑になってからは人形として取引されもはや生物扱いされない日々。
それが日常と化していた俺の毎日に終止符を打ってくれたのはもちろん誰であろう15歳の少年版クラウンな訳だが、まあそれは置いておくとして。
その際俺を苦しめてくれたのはありとあらゆる人間だったわけだ。
よって人間からほど遠い動物達を愛すると…
用は俺は動物でも霊長類はあまり好きではない。
最も好きなのはもふもふシリーズの自己ベストである羊だ。
羊毛が好き。
あとモルモットなどネズミ系も好きだ。
毛は短いが小さくてちょこちょこ歩くのは結構いい。
あと体温も高くて囲まれると気持ちいい。
ウサギもぴょこぴょこしているのがよってくるのがかわいいし、鳥の歩く姿もいい。
そう考えればきっと俺は小さくて柔らかい動物が好きなのだろう…
でも大型も嫌いじゃないのだが。
象はよってこられても困るが、ペガサスやユニコーンは毛がツヤツヤしているし、賢くて人懐っこい。
鳳凰はちょっと近づいてくると熱いが、防火の手袋に止まっていて首をかしげていれば好きだ。
だが頭に止まられると冗談抜きで大火傷を負うんだよな…
亀も大きい海亀は背中に乗せてくれるので重宝する。
小さいのをよしよしすると指を持っていかれかけるので少し警戒しているのだが、本人たちは甘噛みのつもりらしい…
魚も海に潜ればヒラヒラよってくる。
だが大抵はそのまま夕食に出すことになるので可哀想だ…なのに何故よってくるのだろうか?
もしかして俺は全身から可哀想ないじめられっ子オーラを出しているのだろうか?
だとしたら結構大発見だ。
これを利用して人魚でもなんでも狩り放題…いや、良くない、人魚は人間の部類なので食べたら駄目だ。
ちなみにドラゴンもよくなつく。
しかしすぐ火を吹くしなにしろ大きいので飼えないのが残念だ。
…いや、待てよ。
ドラゴンもなつくと言ったが、俺になつかない動物なんていなくないか?
もしかして人間以外の全動物に愛されているのだろうか…うわぁ…
一生食料には困る気がしない。
さて、散々猫被ってることがばれて来たようなのでいい加減脳内トークをやめなければならない。
クラウンやアクアは真面目イケメンクールビューティーと俺を勘違いしているようだが。
誰だその面白味の欠片もない人間は。
ずっといたら分かるだろう、俺はツッコミよりかはボケ担当だ。
そんな楽しい茶番を一緒にやるにはあの三人くらいしかいないが。
ウィングは怖くて俺に逆らわないし、逆らいそうな二人が騙されている。
…上手い具合に世の中は俺の都合のいいようにできているらしい。
俺はこれからもずっと真面目なツッコミ担当なのだろうか…
合いの手怖くて最近入れないんだよな、ウィング。
ちょっと優しくしようと心に決めて。
都合よく忘れた。
だってあいつはああいう役がちょうどいい。
持ち上げると図に乗るから。
さあ、本当にこの脳内トークをやめないと真剣なところで何を考えてるんだこいつとどつかれてしまう。
誰にだよ!?
そうだよ上記の台詞を誰か言え。
簡単だろうが言えよ。
あぁゼロさん離して。
これ以上やってると疑惑もたってないところからあいつは実は頭の中であれこれ想像してるんだとばれ…いや、憶測がたってしまう。
ゼロさんは俺を聖人か何かだと思っているのだろうか。
泣かないでゼロさん。
何で泣くんだよ。
俺の頭の中見てみろよ。
俺はそんなに長い時間抱きしめられても困るんだよ。
いつまでやれって言うんだこの脳内トーク。
ゼロさんしっかりしてくれ。
確かに俺は小さい頃は真面目だったけど。
クラウンといるうちにだんだん変わって来たんだよゼロさん。
もうゼロさんの求める真面目で可愛い天然ちゃんはいないんだよ!
…
…
…
ほらみろ。
一人でボケやってても悲しいだけだ。
誰が天然だって言え本当に、寂しい。
俺は冷静だろうけどクールビューティーじゃない…
でもこれをどう外に出せばいいのだろうか。
いきなり全面オープンじゃ気が変になったと思われてしまう。
この時期に精神病院はきついんだが。
…まあいいや、今まで通り猫被っていよう。
僕はTHE真面目君です。
ボケとかツッコミとか全然分かんないですごめんなさい。
…誰だこれ。
というか真面目な奴が何故真面目って自分で言うんだ…
ただの高校の新入生だろこれは…
ウケ狙ってるタイプの子だろ…
自分でやっといて痛い。
ねえゼロさん生きてますか!?
ゼロさん生きてますか!?
いや長いって!
さすがに長いって!
気失ってないよね!?
真面目に背中に撫でてるだろ?
いい加減泣き止んでほしいんだけどな俺としては!
だんだん俺よりクラウンの方が真面目になってきてるし。
そうだよ意外にクラウン真面目なんだよ!
俺よりマシなんだよ!
もう開き直った!
ゼロさん!
ゼロさんさすがに辛い!
せめて肩変えて肩!
腕疲れた肩痛い吊りそう!
ゼロさんってば!
もう何でこんなことになってるか忘れかけてるんだよ俺は!
実際はちゃんと覚えている。
文章にして原稿用紙約半ページのシーンの俺の心情。
ストーリーだと五分経過、とか言えるから短いんだよな…
「ゼロさん、もう泣かないで下さい」
思い詰めたような声で俺は静かに呟いた。