もし期待されていた方がいらっしゃったら申し訳ないが、ゼロさんに見つかったので俺は難を逃れた。

難をと言ったら失礼だろうか…でも難なんだからしょうがない。

一応抵抗はしないが、今回はプラスクラウンへの罪悪感で死ぬかと思った。

ゼロさんありがとうございました。

「て、抵抗して下さいL君!疑惑が真実になりますよ!?」

「…だって…アイスさん傷つけたくないし」

「お願いです傷つけて下さい!あんなクズは!」

断っておくがゼロさんは同性愛が嫌なのではなく俺のトラウマの塊であるアイスさんが嫌いなのだ。

俺としては仲良くしてほしい。

二人で優しくなってほしい。

住めば都と言うように、地獄は俺の第二の故郷…

「泣きますよ!?」

おっといけない声に出ていたようだ。

でもいい。

思ってるし。

クラウンにはよくホセって意外に短絡的な物の考え方するよねと言われるが。

何で難しいこと考えなきゃ駄目なんだ?

え?

さすがに頭爆発する。

知的な方がモテるって言われたからやっているだけなのに完全に騙されている。

あ、いいのか、モテてるし。

「この場合聞いて天国見て地獄だと思うんですが…」

「聞いても地獄です」

「それ以上に地獄って言いたいんです私は」

ゼロさんは優しくて過保護だ。

クラウンもよく俺に過保護だと言っているがそんなことはない。

だってゼロさん酷いぜ?←

「ゼロさん過保護過ぎます。大学にまでよくついてきてたじゃないですか」

「はいそうです帰りに川に飛び込まされるいじめられっ子がいましたから?」

あぁ、あの時のイケメンっぷりロメさんに見せたい。

溺れかかった俺を救うために躊躇いなく飛び込んでくれて。

凍えていたところに上着をかけてくれて。

あぁ、あれで助けられたのがロメさんだったらなぁ…

推定6歳の餓鬼だからな…

「…L君、妄想に浸るのは勝手なんですが、だいぶ記憶が書き換えられていませんか」

「そんなことはありません」

「辛い思い出を幸せなエピソードとして語らないで下さい」

「いや俺にとってはそこまで辛くないです」

真冬の大河に飛び込んだゼロさんは辛かっただろうけど俺は慣れっこなんだ。

助けられたので全部チャラになった。

どちらかというと小屋に突っ込まれて火をつけられた方が辛かったと思う。

後日煙で目が痛くなったんだ。

それに肌が全部剥がれちゃうかと思った。

「…L君の人生の壮絶さがよくわかりますね」

ゼロさんが目をうるませながら俺を抱きしめた。