その後二人でナポリタンをついばみ、町へでた。

同じ男なのに身長差はちょうど男女のカップルのようだった。

…じゃない、兄弟って言いたかったんだ。

「ゼロさん」

「何です?」

「ロメさんとのご結婚のご祝儀、いくらがいいですか?」

「だからしませんよ!?というか私に聞きますかそれを!?」

私という一人称がこれほど似合う男を俺は他に知らない。

N様…いや、Nさんは一応私だけど我輩のほうがいい。

魔王様は言うに及ばず、僕にしてほしい。

アイスさんは…

あぁ…似合うかもなぁ…でもそんなこと言ったらまた殴られるか…

口調が俺様系だから口調から一新してほしいと思う。

「L君、ロメに呼び出されたので一旦帰りましょうか?気がつかない振りをしてもいいのですが」

駄目だよゼロさん。

女性からの連絡に既読スルーは不味い。

一も二もなく俺はゼロさんと共に飛んで研究所へ帰った。

「ゼロぉ♪」

うまくやってねゼロさん!

俺は思いっきり手を振ると笑顔で送り出した。

送り出したんだからな。

押し出したんじゃない。


さて見物にまわるかと野次馬根性丸出しで植木に飛び込もうとしたところを見つかった。

「お帰り、ジュエル君。見ない間に大きくなったんじゃないのか?」

N様がそういうので、俺は身長を測ってみた。

そんなに変わっていない。

「違う違う、顔が大人っぽくなっているんだよ」

ああなるほど、と俺は合点した。

と。

「ホセ、抱っこしてみろ。私は少し大きくなっただろう!」

魔王様が何故か腕の中に飛び込んできた。

しかし俺にはそんな恐れ多いことなんてできないので抱えたままおろおろした。

「遠慮をするな、ホセ!」

「…」

「やめなさい。ものすごく困ってるぞ」

「ああ?なんだ?兄に向かってその口の聞き方は?」

「チビに言われる筋合いはないな」

ゼロさんとロメさんの結婚と平行して、俺はもうひとつ願っていることがある。

この超絶仲が悪い兄弟を仲良くさせたい。

二人とも天に与えられた才能があるのに何故かいがみ合っている。

手を取り合ってダンスしろとは言わないが、せめて世間話くらいしてほしいと思う。

しかし残念ながらとんだ身分違いなので俺は手が出せないのだ。

喧嘩している二人を見ていることしかできない無力さには嫌になるが、でも祈ってる。

いつか仲良くできますように。