私はキャンディーをくわえたまま、上目遣いにホセを見上げる。
くい、と首をかしげる姿がかっこいい。
「なんだ」
薄く笑うホセは何故か不敵な笑み。
私はギュッと目をそらしてやった。
ホセは楽しそうだけど。
「あぁ、そういえばクラウン…魔界にしばらく帰ってきてと言われてしまった」
うん、帰ればいいじゃんか。
「だからクラウン」
ホセは不敵に微笑む。
「浮気するなよ?」
するか。
できるか。
だって子供いるし?
だってそれ以前に私は傷害事件を見たくないし。
「しないならいい。だが心配で堪らなくて」
いいか、クラウン。
「発信機つけさせろ」
助けてこいつストーカーだ!
「動くなよ…すぐ終わる」
ほらこれを飲めとホセは液体状の物体を私に押しつける。
私は顔をそむけて、でもホセは諦めない。
口元にコップを押し付けられて、鼻を摘ままれる。
「飲まないと窒息だ」
怖いよ殺されそうだよ。
そうは言っても窒息は嫌なので仕方なく液体を飲み干す私。
満足そうにホセは微笑んで、コップを消失させた。
「証拠隠滅、だな」
にっこりしながらそういって。
ホセは糸と穴の空いたコインを取り出して、私の目の前で揺らし始めた。
「これは自分で進んで飲んだ…自分で進んで飲んだんだ…」
こら。