「クラウン、もう何処にも行かないからな」

少し大人びたその体を、いつかの自分のように傷ついた体を、精一杯、ホセは抱きしめた。

優しい甘い香り。

危険な甘い香り。

ゆっくりとそれを堪能して、沸き上がる吸血欲に今朝だけは眠ってもらった。


だって傷ついたクラウンを、守らなきゃいけないだろう?


思ったより簡単に鎮まった衝動は、でも余韻を残して行った。

「クラウン」

肌から香る、血と花のような甘い香り。


味わうかのようにホセは、クラウンに淡いキスを落とした。