「クラウン、もういい…離せよ」

私はついさっき拳大の石に暗い視線を投げ掛けていたホセに抱きついていた。

ホセは私を傷つけないから、私が盾になればいい。

やだ、と端的にそういった私をホセは切なげに見返した。

「ごめん、クラウン」

吐息の狭間に紡がれた名前がやけに優しくて、私はううん、と首を振った。

ごめんじゃなくて、ありがとうって、言ってよホセ。

驚いたような表情が、大好き。


「ごめん、クラウン…ありがと…う」

自信無さげなその台詞に、ホセの馬鹿、と私は泣いた。

だって、怖くて。


いなくならないでね、ホセ。

私はずっと、待ってるから。

待ってたいから。


なんて言わなくて。

私は、あとあと、死ぬほど後悔した。


これがフラグって言うの?