何がともあれ、ホセが着替えろと言ったので私は従順に従い着替えた。
Tシャツにトレーナー、つば付きのキャップ。
短パンにハイソックスで少しだけかかとの上がったスニーカー。
ホセの真似をして、茶色の竜革の手袋もはめてみたり。
仕上げに黄金と紅玉の幻想的なペンダント。
もちろんといったらあれだけど、ホセがくれた。
当然ハンドメイド。
ちなみに、原石は希少で最高級の“人魚姫のルビー”と“砂漠の砂金”。
ホセ曰く、砂漠の砂金は買ったが人魚姫のルビーは自分で取りに行ったらしい。
天界の人魚湾の、人魚の墓場に沈んでるらしいんだけど。
人魚姫しか取りに行けないから人魚姫のルビーなんだけどな…
一体いつから人魚姫に倉替えしたんだろーなー、と。
考えているとまた壁を蹴り破って来た。
「…クラウン、隣が歩きづらいんだ」
頼むからもう少し可愛くなるなと無茶な事をいってくる。
だってホセには可愛い姿見てほしいんだもん、と私が言うと、ホセは怒るぞ、と何故かご立腹。
やっぱり今日は機嫌が悪い…気が…
「お前がそんなんじゃお前に目が行って道に迷うだろう…いくら初夏でも野宿は嫌だろうが」
…そんなわけないでしょうが。
「それがあるからその格好をやめろと…まあいい。街中歩くときは許さないからな」
優しく頬をつつかれたあと、私はホセに抱き上げられて、蜃気楼で知らないところへつれていかれた。
ホセ、これ誘拐だよ?
「…逃げ出したらガッチリ拘束するぞ?手錠首輪足枷腰縄などなど一通り揃ってる」
さぁっと、私の血の気が引いたのを見てとったのか、ホセはクスリ、と笑った。
「お前に許されるなら、な」
それじゃあ大変。
無理矢理婚約届けにサインさせられても私は許すから、逃がしてもらえない。
なんて、絶対言わないけど。