希輝は注目の的だった。
サッカーがすごく上手く、女子からの人気はどんどん集まっている。
サッカー部のマネージャーになろうとする女子の希望者が一時期は殺到した。
彼女たちの入部が実現しなかったのは、希輝と勇輝が上手く予防線を張ったからだった。
以降、女子マネージャーなしという暗黙の了解になり、女子は遠くから見守っている。

欄と遥と妃愛は例外だ。

状況だけみれば、幼馴染みの欄はともかく、妃愛や遥はやっかみを受けそうなものだったけれど、周りの女子達はどこかで安心してるようだ。
勇輝と妃愛は、ただの友達に過ぎないのだということに。
欄や遥にさえ自分の気持ちを認めてないのに、このままは嫌だと思ってしまう。

足元の影は日に日に濃くなっていく。
中学校生活最後の夏休みはもう目の前だ。