とうとう新学期に突入していた。
制服も移行期間に入り、半袖から長袖へと変わっている
ふと、司との会話を思い出す。

『妃愛とはどうなってんだよ』
『何もないよ。しばらく一緒に帰れないとは言われたがな』
『おまえらって本当に付き合ってないんだよな』
『それな!!』

司は予想に反して食い下がり、優勝も加わってきた。
妃愛との間に何もないのだから、隠すものがない。
勇輝が妃愛を好きなことは、2人とも気づいてるはずだ。
いっそのこと認めてしまおうか。
そう思ったが、もう1人の自分が攻撃をしてきた。

『もし俺が妃愛と付き合ってるならというか、遥意外を好きだっていえば司は安心して終わりなの?』

部室は緊張感に包まれた。
勇輝があわてて『牛丼食べに行かない?』と話題をかえてくれた。

「わりい。鞄教室に忘れたから先行っててくれ。」
希輝は鞄を忘れたことに気づきその一言だけ行って部室をさった。

教室に行くと見慣れた姿があった。
よくみると遥が司の席に座っていた。
遥は顔を伏せ、びくともしない。
立ち去ろうと思ったが気になって声をかけた。

「おい。何してんだよ遥。」

遥は「っ?!」と声にならない悲鳴をあげて席を立った。

「希輝?忘れ物でもしたの?」
「正解。鞄をとりにきたんだよ。遥は司の席になんの用だ?」

遥の顔は一瞬で真っ赤になった。
「おまえは司とどうなんだよ」
「べっ別になにもないし!」
「俺が応援してやってんだからさっさと告白しろよ。…俺も人の事言えないけどな。」
遥は目を丸くして驚いていた。
「希輝も恋してたんだね!!」
「してたら悪いかよ。」
「特別応援してあげるよ」
希輝は思わず吹き出してしまった。
すると、遥は急に真顔になり口を開いた。
「じゃあ希輝はなをで告白しないの?」
希輝は何も言えなかった。

「希輝は告白するとしたらどんな言葉をいう?」

「……は?」
「参考にしたいし教えてよ!」
「俺だったら普通に……」
「普通にどうするの?」
「好きです。付き合ってください…って言うかな。」
予想以上に『好きです。付き合ってください』の部分の声が大きくなってしまった。
誰かに聞かれたら誤解されてしまうかも知れない。
するとドアがガタンッと揺れた。
本当に誰かに聞かれたのではないかと心配になったが気にすると落ち着かなくなるので
「あいつらが待ってるから帰るわ。」
「また明日ね!」
と言い希輝は教室を後にした。
何気なく廊下をみると勇輝と欄らしき人影がみえた。
さっきのやつが聞かれていたのだろうか。
気になったが、勇輝は司といるはずだから見間違いということにしておいた。