だって昼間はあんなに、いや、ついさっきまでケンカもせず仲良しだったじゃないかと。


「な……んで?嘘だよね?」

「本当よ。この旅行でお母さんは北海道のおばあちゃんのところに行きます」


キッパリ言い放ったお母さんは、その決意を揺らげないように手を握りしめていた。


「空はお父さんといて。ごめんね、ごめんね空」


泣きそうになった。

いやだよって叫びたかった。

………それができなかったのは、お母さんのアーモンド色の瞳に涙がたまっていたから。