大河が、彼氏が待っている場所へ。

望んでいるこの場所を離れて。

ここはあたしには幸せすぎる。

そして、辛すぎる。


「願っても願っても、叶うはずのない初恋を叶えてくれて、ありがとう」


静かに去ろうとするあたしを止めるのはあなた。


「待てよ」


その声が好き。

その瞳が好き。

どこまでも愛しい人を、手放したくない。


「………………さよなら」


心のこもっていない『さよなら』