腕を強く引かれ、愛しい愛しい南野の腕の中へ。 「逃げんなよ」 耳元で囁かれて、ゾクッとする。 望んでいた場所。 それは、こんなにも辛い場所だった。 涙が、涙が止まらない。 「________好きだ」 …………あたしも。 そう叫びたいのを必死で抑えた。 「10年前、お前にチョコレートをあげたのは俺。その日からずっと、お前が好きだった」 …………あたしも、あたしもだよ。 大好きだよ。