もう、忘れるから。

今だけ、溢れる想いを受け止めて………………。

唇を当てながら、そっと目を開けると、南野の潤んだ瞳とぶつかった。

驚いて慌てて離す。


「…………起きて、たの?」


やだ、やだ。

バレたくなんか、なかったのに。


「…………な、んで」


南野が聞いたその言葉で胸が押しつぶされて、


「ごめん!」


そう叫んで教室を飛び出そうと………………した。