小さいころから、俺が見つめていたのは、ただ一人。

陽毬、だけ…………。

バカでドジで天然だけど、明るくて、誰よりも優しいところが、俺は大好きだった。

…………叶うと思っていた初恋を、失恋させたのは、10年前。

森でさ迷った陽毬を、俺はなんとしてでも助けてたかった。

泣いてるかな、とか、陽毬は寂しがりやだからな、とか思いながら。


「陽毬!陽毬!」